私はAmazon Web Servicesをはじめ、外資系IT企業で採用に携わり、多くの応募書類を見てきました。その経験から言えるのは、AIを使ったこと自体を評価することはありません。評価していたのは、「その人の経験が伝わる職務経歴書になっているか」でした。
転職活動でAIを活用する人が急速に増えています。
職務経歴書の作成や添削、自己PRのブラッシュアップなど、以前は時間がかかっていた作業も、今では数分で形になるようになりました。
一方で、
- 「AIで作った職務経歴書は採用担当に嫌われる?」
- 「AIを使うと不採用になる?」
- 「どこまでAIに任せてもいいの?」
と不安を感じている人も少なくありません。
採用担当として数多くの応募書類を見てきた経験から結論を言えば、AIを使うこと自体は問題ありません。
問題なのは、AIに考えることまで任せてしまうことです。
この記事では、採用担当が実際に職務経歴書のどこを見ているのか、AIをどう使えば評価につながるのか、逆に評価を落としてしまう使い方は何なのかを解説します。
AIで職務経歴書を作ること自体は危険ではない
結論から言えば、AIを使ったという理由だけで評価が下がることはありません。
Wordで作ったのか、Googleドキュメントで作ったのか、生成AIを使ったのか。
採用担当は、そのような作成手段を評価しているわけではありません。
見ているのは、
- この人は何を経験してきたのか
- どんな成果を出してきたのか
- 自社で活躍できそうか
という点です。
つまり、AIはあくまで道具です。
問題になるのは道具ではなく、その使い方です。
採用担当はAIで作った職務経歴書を見抜けるのか
「AIで作ったことはバレますか?」
これは非常によくある質問です。
正直に言えば、
AIを使ったことそのものを見抜くことはできません。
しかし、
AIに丸投げした職務経歴書らしい
と感じることはあります。
その理由は、文章の特徴です。
例えば、
- 抽象的な表現ばかり並ぶ
- 具体的な数字がない
- どの会社にも当てはまりそうな内容
- 本人の経験が見えてこない
このような職務経歴書は、AIが書いたかどうかに関係なく評価が難しくなります。
逆に、自分の経験が具体的に書かれている職務経歴書であれば、AIを使って文章を整えていてもマイナスにはなりません。そして、AIを使ったことではなく、「応募者本人の経験なのか、それとも表面的な文章なのか」は判断されることがあります。
私自身、面接で「職務経歴書には詳しく書かれているのに、質問すると説明できなくなる応募者」を何度も見てきました。
AIを使ったかどうかは分かりません。しかし、その場で自分の経験として話せない内容があると、「実際に経験したことなのだろうか」と感じることはありました。
だからこそ、AIを使う場合でも、面接で自分の言葉で説明できる内容だけを書くことが大切です。
AIを使ったかどうかより、採用担当が短時間で応募者の経験、強み、募集ポジションとの共通点を判断できることが重要です。
採用担当が職務経歴書で最初に確認しているポイントは、次の記事で解説しています。

評価を下げるAIの使い方
1. AIに最初から最後まで書かせる
最も避けたい使い方です。
AIは自然な文章を書くことは得意ですが、あなたの経験を知っているわけではありません。
そのため、
- 実際には担当していない業務
- 面接で説明できない成果
- 一般論だけの自己PR
が出来上がることがあります。
面接では必ず、
「このプロジェクトについて詳しく教えてください。」
「なぜその成果が出たのですか。」
と深掘りされます。
説明できない内容を書いてしまえば、その時点で信頼を失います。
面接では、整った文章を暗記しているかではなく、実際の経験を自分の言葉で説明できるかが確認されます。
話を大きく見せた場合や、深掘りで説明できなくなった場合に採用側がどう判断するかは、次の記事で解説しています。

2. AIらしい表現をそのまま使う
生成AIは、読みやすい文章を書く一方で、似たような表現になりやすい傾向があります。
例えば、
- 多角的な視点で
- 包括的に
- 最適化を実現
- 柔軟に対応
- 円滑なコミュニケーション
こうした言葉が並ぶだけでは、採用担当には何をしてきた人なのか伝わりません。
重要なのは、
何をしたのか
を具体的に書くことです。
例えば、
AWS環境で約100台のEC2サーバーの運用を担当し、運用手順を見直すことで障害対応時間を約30%短縮した。
このような文章の方が、経験が伝わります。
3. 数字を書かない
採用担当は数字を見ます。
例えば、
「改善しました」
では評価できません。
しかし、
- 作業時間を20%削減
- 利用者数5,000人のシステムを担当
- 15名のプロジェクトメンバーで開発
と数字が入るだけで、経験のイメージが具体的になります。
評価されるAIの使い方
AIは「代わりに職務経歴書を書いてくれる存在」ではなく、「文章を整理してくれる存在」と考えるのがおすすめです。
私がおすすめする使い方は、とてもシンプルです。
まずは自分で事実を書き出します。
例えば、
- プロジェクト名
- 担当した業務
- 使用した技術
- 担当工程
- チームの人数
- 自分の役割
- 成果
この段階では、文章としてきれいに書く必要はありません。
箇条書きでも十分です。
次に、その内容をAIへ渡して文章を整理してもらいます。
例えば、
「採用担当へ伝わりやすい文章へ修正してください。」
「誤字脱字を確認してください。」
「文章を読みやすくしてください。」
このような依頼であれば、AIは非常に優秀です。
一方で、
「職務経歴書を全部作ってください。」
という依頼では、あなたの経験ではなく、AIが考えた一般的な職務経歴書になってしまう可能性があります。
最後は必ず自分で読み返してください。
内容に誤りがないか。
数字は正しいか。
そして、面接でその内容を説明できるか。
この確認だけは省略しないようにしましょう。
職務経歴書だけでは転職は決まりません。面接で評価されるポイントも知っておきたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

AIで作成した文章は必ず声に出して読む
おすすめしたい方法があります。
完成した職務経歴書を、一度声に出して読んでみてください。
読みにくい部分や、自分では普段使わない言い回しがあれば、その部分はAIらしい文章になっている可能性があります。
面接では、自分の言葉で説明できることが重要です。
声に出して違和感がある文章は、自分の表現に修正しましょう。
採用担当が本当に見ているポイント
採用担当が見ているのは、文章のうまさではありません。
見ているのは、
「この人はどんな仕事をしてきたのか。」
「この人は自社でも活躍できそうか。」
という点です。
例えば、
「AWSを担当しました。」
だけでは経験が伝わりません。
しかし、
「AWS環境で約100台のEC2サーバーの運用を担当し、障害対応や運用改善を行いました。」
ここまで書かれていると、経験のイメージが一気に具体的になります。
また、成果はできるだけ数字で示しましょう。
「改善しました。」
ではなく、
「運用手順を見直し、障害対応時間を約30%短縮しました。」
の方が説得力があります。
採用担当は、抽象的な言葉よりも具体的な事実を評価します。
ただし、成果を数字で書くだけでは十分ではありません。
応募先の募集要項にある必須条件と、自分の経験や成果を対応させる必要があります。
年収評価につながる経験と必須条件の考え方は、次の記事で解説しています。

そして職務経歴書は、応募先の募集要項に合わせて調整します。
そのため、まず求人を確認し、企業がどのような経験や役割を求めているかを把握する必要があります。
30代IT人材向けの転職エージェントは、次の記事で目的別に比較しています。

AIを使う人ほど差が付く時代になる
生成AIを使って職務経歴書を作ることは、今後ますます一般的になるでしょう。
だからこそ差が付くのは、
AIを使ったかどうかではありません。
AIをどう使ったかです。
AIに丸投げした職務経歴書は、どこか似たような内容になります。
一方で、自分の経験を整理し、それを伝わりやすくするためにAIを活用した職務経歴書は、その人らしさが伝わります。
AIによって経験の差がなくなることはありません。
むしろ、本当の経験がある人ほど、その経験を分かりやすく伝えられるようになります。
提出前に確認したい5つのポイント
職務経歴書を提出する前に、次の5項目を確認してください。
- 実際に経験した内容だけを書いているか
- 成果を数字で示しているか
- 面接で自分の言葉で説明できるか
- 応募企業に関係する経験を優先しているか
- AIらしい抽象的な表現が残っていないか
この5つを確認するだけでも、職務経歴書の完成度は大きく変わります。
まとめ
AIで職務経歴書を作ること自体は危険ではありません。
危険なのは、AIが作った内容を確認せず、そのまま提出してしまうことです。
採用担当が評価するのは、
- あなたがどのような経験をしてきたのか
- どのような成果を出してきたのか
- その経験を自分の言葉で説明できるのか
という点です。
AIは、あなたの経験を分かりやすく伝えるための便利なツールです。
文章作成を効率化することはできますが、経験そのものを作ることはできません。
AIを上手に活用し、自分らしさが伝わる職務経歴書を作ることが、転職成功への近道になるでしょう。
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職務経歴書は転職活動の一部にすぎません。応募書類だけでなく、自分に合った転職エージェントを選ぶことも結果を左右します。採用担当の視点や転職エージェント選びも合わせて確認しておきましょう。



