職務経歴書をゼロから作ると、「何を書けばいいのか」「どこまで詳しく書けばいいのか」で手が止まりやすくなります。
ここでAIは使えます。
ただし、AIに任せるのは職歴そのものを考えることではありません。
AIに任せるのは、
- 自分が入力した経験の整理
- 求人票との比較
- 文章のたたき台作成
- 抜けている情報の指摘
- 表現のチェック
です。
一方、
- 何を経験したのか
- 何を担当したのか
- どこまで自分で行ったのか
- どんな成果があったのか
- 数字が正しいか
を決めるのはあなたです。
つまり、AIで職務経歴書を作る基本形は、
人が事実を入力する → AIが整理する → 人が事実確認する
です。
この記事では、この分担を崩さずに職務経歴書を作る方法を、実際に使えるプロンプトとあわせて解説します。
AIで職務経歴書を作る基本手順
最初からAIに、
「職務経歴書を作って」
と依頼するのは避けます。
次の順番で進めます。
1.あなた:自分の職歴と経験を書き出す
最初にやるのはAIではありません。
あなたが、自分が実際に経験したことを書き出します。
文章になっていなくても構いません。
会社、期間、担当業務、役割、使った技術、成果など、覚えている事実を入力材料として準備します。
2.AI:入力された経験を整理する
次に、その情報をAIへ渡します。
AIには、
- 担当業務
- あなたの役割
- 使用技術
- 成果
- 不足している情報
などに分類させます。
ここではAIに新しい経験を考えさせません。
3.AI:求人票と自分の経験を比較する
応募する求人票もAIへ渡します。
AIには、
求人側が求めている経験と、自分が入力した経験の一致・不足を整理させます。
合否予測をさせるのではなく、比較作業に使います。
4.AI:職務経歴書のたたき台を作る
整理した情報だけを使って、AIに文章化させます。
ここで初めて「職務経歴書らしい文章」を作らせます。
ただし、まだ完成ではありません。
5.あなた:AIが作った文章を実体験と照合する
AIが作った文章をあなたが確認します。
- 実際に担当したか
- 自分の役割として正しいか
- 数字は正しいか
- チームの成果を自分の成果にしていないか
- 経験していない内容が入っていないか
を確認します。
6.あなた+AI:不足している部分を具体化する
内容が曖昧な部分は、AIに質問を作らせます。
その質問にあなたが回答し、その回答をAIに再整理させます。
AIが経験を作るのではなく、AIの質問を使ってあなたの記憶を掘り下げます。
7.AI:採用担当が読みづらい部分を指摘する
完成に近づいたら、AIにチェックさせます。
ここでは文章を書き直させるより、
- 担当範囲が分かりにくい
- 抽象的
- 重複している
- 求人との関連が見えにくい
といった問題点を指摘させます。
8.あなた:最終確認して提出する
最後に判断するのはあなたです。
職務経歴書に書かれているすべての内容について、
面接で自分の言葉で説明できるか
まで確認して完成です。
最初にあなたが職務経験を書き出す
まず、AIを開く前に、自分の職歴を整理します。
ここはあなたがやる作業です。
最低限、次の情報を書き出します。
- 会社名
- 在籍期間
- 所属部署
- 職種
- 担当した業務
- プロジェクト
- 自分の役割
- 自分自身が行った作業
- 使用した技術やツール
- 顧客や関係部署との関わり
- 成果
- 数字で説明できる実績
きれいな文章にする必要はありません。
例えば、
「ECサイト刷新、2024年4月〜12月、PM補佐、要件整理、開発会社との調整、進捗管理」
程度でも構いません。
重要なのは、AIに渡す前の段階では、実際に経験した事実だけを書くことです。
分からない数字を推測して埋める必要もありません。
AIに職務経験を整理させる
あなたが事実を書き出したら、ここからAIを使います。
AIには、入力した情報を職務経歴書に使いやすい形へ整理させます。
AIに入力するプロンプト
以下は私が実際に経験した業務です。
入力した情報だけを使って整理してください。入力されていない業務、成果、数字、役職、スキルは追加しないでください。
分からない情報は推測せず「確認が必要」としてください。次の項目に分けて整理してください。
- 担当業務
- 私の役割
- 私自身が行ったこと
- 使用した技術・ツール
- 関係者との調整内容
- 成果
- 職務経歴書を書くために不足している情報
【実際の業務経験】
ここに自分で整理した事実を入力
この段階でAIに文章を完成させる必要はありません。
目的は、自分が入力した情報を分類することです。
AIに質問させ、あなたが経験を具体化する
整理された内容を見ると、
「担当業務は書いてあるけれど、自分の役割が曖昧」
という箇所が見つかることがあります。
ここでは、AIに経験を補わせてはいけません。
代わりに、AIにあなたへの質問を作らせます。
AIに入力するプロンプト
私の業務経験を職務経歴書に具体的に書くために、不足している情報を私へ質問してください。
特に次の内容を確認してください。
・私の担当範囲
・私自身が判断したこと
・上司や他部署が判断したこと
・顧客や関係者との調整
・使用した技術
・プロジェクト規模
・発生した課題
・私が行った対応
・結果経験を推測して補わず、質問だけしてください。
AIから、
「そのプロジェクトであなた自身が担当した工程はどこですか?」
「顧客との調整では、具体的に何を決めましたか?」
といった質問が返ってきます。
その質問に回答するのはあなたです。
このやり方なら、AIに架空の経験を作らせずに、忘れていた情報を掘り起こせます。
AIに求人票と自分の経験を比較させる
次にAIへ、応募予定の求人票と自分の経験の両方を渡します。
ここはAIに比較作業をさせる工程です。
AIに入力するプロンプト
以下の求人票と私の実際の業務経験を比較してください。
合格可能性は判断しないでください。
入力されていない経験も追加しないでください。次の項目に整理してください。
- 求人票で求められている主な業務
- 必須条件
- 歓迎条件
- 私の経験と一致している部分
- 一部だけ一致している部分
- 私の経験からは確認できない部分
- 職務経歴書で目立たせた方がよい経験
【求人票】
ここに求人票を貼り付ける【私の実際の経験】
ここに自分の経験を貼り付ける
ここでAIにやらせるのは照合作業です。
「この求人には応募すべき」
「この会社なら採用される」
まで判断させる必要はありません。
AIで求人票そのものを整理する方法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。

AIに職務経歴書のたたき台を作らせる
ここまで情報を整理したら、初めてAIへ文章作成を依頼します。
文章化はAIに任せます。
ただし、使ってよい情報はあなたが入力した事実だけに限定します。
AIに入力するプロンプト
これまで整理した私の実際の経験だけを使って、職務経歴書のたたき台を作ってください。
次の順番で整理してください。
- 職務要約
- 担当業務
- 私の役割
- 私自身が行ったこと
- 使用した技術・ツール
- 成果
応募する求人との関連性が高い経験は分かりやすくしてください。
入力されていない経験、数字、成果、役職、スキルは追加しないでください。
不明な情報は推測せず「確認が必要」としてください。抽象的な自己評価や誇張した表現は避けてください。
AIが文章を出した時点では、まだ完成ではありません。
ここからあなたによる確認に戻ります。
あなたがAIの文章と実際の経験を照合する
AIが作った職務経歴書を一文ずつ読みます。
これはあなたがやる工程です。
確認するのは次の5点です。
- 本当に自分が担当した仕事か
- 自分の役割として正しいか
- 自分が判断したことなのか
- 数字は正しいか
- チームの成果を自分の成果にしていないか
一つでも違えば修正します。
AIが自然な文章を書いていても、事実と違えば使えません。
あなたが「自分の担当範囲」が分かる文章へ直す
例えばAIが、
AWSを利用したクラウド環境構築プロジェクトに参画しました。
と書いたとします。
この文章自体は間違っていなくても、あなたが何をしたのか分かりません。
ここはあなたが実際の担当範囲を確認して情報を追加します。
実際に担当したのが基本設計なら、
AWS環境への移行プロジェクトで基本設計を担当。利用部門から要件を確認し、ネットワーク構成、権限、監視要件を整理したうえで設計書を作成した。
のように具体化します。
文章表現を整える部分はAIへ再依頼しても構いません。
しかし、
「自分は何を担当したのか」を決められるのはあなただけです。
採用担当が職務経歴書で確認するポイントについてはこちらで解説しています。

あなたがチームの成果と自分の成果を分ける
ここもAI任せにはしません。
例えばAIが、
大規模システム移行を成功させ、予定どおりプロジェクトを完了させました。
と書いたとします。
しかし、それがチーム全体の成果なら、あなただけの成果としては書けません。
あなたが、
「自分は何を担当したのか」
を確認します。
例えば実際の担当が移行計画と進行管理なら、
システム移行プロジェクトで移行計画の作成と関係部署との調整を担当。移行前に各部署の作業内容と実施時間を整理し、当日の進行管理を行った。
とします。
事実を決めるのは人、文章を整えるのはAI。
この分担を崩さないことが重要です。
あなたが数字の正しさを確認する
数字についても、AIに判断させません。
例えばAIが、
業務工数を30%削減しました。
と書いたとしても、その30%に根拠がなければ削除します。
あなたが確認できる、
- プロジェクト期間
- チーム人数
- 管理人数
- 対応件数
- 売上
- コスト
- 作業時間
- 削減時間
だけを使います。
数字が分からなければ無理に数字を入れません。
手作業だった集計を自動化した
という事実だけでも構いません。
AIに抽象的な表現を指摘させる
事実確認が終わったら、再びAIを使います。
今度は文章の問題を探させます。
AIに入力するプロンプト
以下の職務経歴書から、具体的な行動が分からない抽象表現を指摘してください。
特に、
・主体的に
・積極的に
・円滑に
・貢献した
・推進した
・課題を解決したなど、具体的な行動が分からない表現を探してください。
経験を推測して書き換えず、「何を追加すれば具体的になるか」だけを教えてください。
AIから指摘された箇所について、
実際に何をしたのかをあなたが追加します。
AI自身に行動内容を考えさせないのがポイントです。
AIに採用担当視点のチェックをさせる
文章が完成に近づいたら、AIをチェック役として使います。
AIに入力するプロンプト
以下の職務経歴書を採用担当が読む前提で確認してください。
次の項目について、分かりにくい箇所だけを指摘してください。
- あなたが何を担当したのか分かるか
- チームの成果とあなたの成果が混ざっていないか
- 抽象的な表現だけになっていないか
- 求人票で求められている経験を見つけやすいか
- 担当範囲・期間・役割が不足していないか
- 根拠を確認すべき数字がないか
- 同じ内容を重複して書いていないか
- 面接で詳しく確認されそうな箇所はどこか
新しい経験や実績は追加しないでください。
ここではAIに問題点の発見だけをさせます。
指摘された内容が本当に問題なのか、どう直すのかはあなたが判断します。
AIに面接で聞かれそうな質問を作らせる
最後に、完成した職務経歴書をAIへ渡します。
ここでAIにやらせるのは、面接質問の生成です。
AIに入力するプロンプト
以下の職務経歴書を読んだ採用担当が、私の実際の経験を確認するために聞きそうな質問を10問作ってください。
特に次の内容を深掘りしてください。
・私の役割
・担当範囲
・自分で判断したこと
・関係者との調整
・問題が起きたときの対応
・成果の根拠
・使用した技術
・求人票で求められている経験との関連性
質問ができたら、あなたが自分の言葉で回答します。
答えられない質問があったら、職務経歴書をもう一度確認します。
書類の表現が実際の経験より大きくなっている可能性があるからです。
最後はあなたが職務経歴書を確認する
最終確認はAIではなくあなたが行います。
最低限、次を確認します。
- 書いてある仕事を本当に担当したか
- 担当範囲は正確か
- 役職や立場は正しいか
- 使用技術は正しいか
- 数字に根拠があるか
- チームの成果を自分の成果にしていないか
- 求人票に合わせて経験を誇張していないか
- 面接で詳しく説明できるか
AIで作った職務経歴書の提出前チェックについてはこちらで詳しく解説しています。

AIに任せる仕事とあなたがやる仕事を混ぜない
AIで職務経歴書を作るときの役割分担を整理すると、こうなります。
| 工程 | 担当 |
|---|---|
| 実際の職歴・経験を出す | あなた |
| 経験を分類・整理する | AI |
| 不足情報を質問する | AI |
| 質問に答える | あなた |
| 求人票と経験を比較する | AI |
| 文章のたたき台を作る | AI |
| 経験・数字・担当範囲を確認する | あなた |
| 抽象表現や不足を指摘する | AI |
| 修正内容を決める | あなた |
| 面接質問を作る | AI |
| 面接で説明できるか確認する | あなた |
この分担にすると、AIに経歴を作らせるのではなく、あなたの経験を整理して伝えやすくする道具として使えます。
AIは職務経歴書を書く人ではなく、編集補助として使う
AIに任せるのは、
整理、比較、文章化、チェック、質問作成です。
あなたがやるのは、
事実の入力、事実確認、判断、最終修正です。
AIだけで職務経歴書を完成させようとすると、誰にでも当てはまる文章になったり、あなたの経験以上の内容が混ざったりする可能性があります。
反対に、あなたが事実を持ち、AIを編集補助として使えば、
自分の経験を整理する時間を短縮しながら、採用担当が読み取れる形へ整えることができます。
この使い分けが、AIで職務経歴書を作るときの基本です。

