AIを使えば、自己PRのたたき台は数秒で作れます。
ただし、そのまま提出すると、
「内容はきれいだけど、この人自身が見えてこない」
という自己PRになりやすいのも事実です。
重要なのは、AIに自己PRを考えてもらうことではありません。
自分の経験をAIに整理させ、採用担当が判断できる形まで具体化することです。
私は採用側として200名以上の応募書類を確認し、面接も担当してきました。
この記事では、AIを使って自己PRを作る具体的な手順と、そのまま使えるプロンプト、最後に自分で直すべきポイントまで解説します。
AIで自己PRを作るなら最初に「完成文章」を頼まない
AIで自己PRを作るときに、最初から、
「転職用の自己PRを書いてください」
と頼むのはおすすめしません。
情報が不足した状態でAIに完成文章を求めると、一般的な表現で不足部分を補った文章になりやすいからです。
たとえば、
「コミュニケーション能力を活かして関係者との調整を行いました」
「課題解決力を発揮して業務改善に貢献しました」
「主体的に行動し、プロジェクトを成功に導きました」
といった文章です。
間違いとは限りません。
しかし、同じような表現は多くの応募者にも当てはまります。
自己PRで必要なのは、きれいな文章ではなく、
「なぜあなたを採用する理由になるのか」が分かる情報
です。
AIを使うなら、文章を作らせる前に材料を揃えます。
AIで作った自己PRをそのまま使う危険性については、こちらで詳しく解説しています。

自己PRを作る前にAIへ渡す情報
まず、自分の経験を箇条書きにします。
最低限、次の情報を用意してください。
- どんな仕事を担当していたか
- どんな課題があったか
- 自分は何をしたか
- なぜその行動を取ったか
- 結果として何が変わったか
- 自分の強みがどこに表れているか
- 応募する仕事でその強みをどう使えるか
ここでは文章にする必要はありません。
たとえば、
「営業部門と開発部門の認識が合わず案件が遅れていた」
「両部門から要件を聞いて論点を整理した」
「週1回の確認会を設定した」
「仕様変更による手戻りが減った」
といった事実で十分です。
AIに渡す材料が具体的になるほど、完成する自己PRも具体的になります。
最初に使うプロンプト|経験を整理する
材料を書き出したら、最初にAIへ経験を整理させます。
次のプロンプトを使えます。
以下は私の実際の業務経験です。
この情報だけを使って、自己PRに使える経験を整理してください。
入力されていない経験、成果、数字、役職、スキルは追加しないでください。次の5項目に分けて整理してください。
- 課題
- 私自身が行ったこと
- 行動した理由
- 結果
- この経験から分かる強み
【私の経験】
ここに自分の経験を入力
ポイントは、
「入力されていない事実を追加しない」
と明示することです。
AIに創作させるのではなく、すでに存在する経験を構造化させます。
次のプロンプト|自己PRのたたき台を作る
経験が整理できたら、次に文章化します。
先ほど整理した内容だけを使って、転職用の自己PRのたたき台を作ってください。
次の順番で構成してください。
- 最初に自分の強みを一文で示す
- その強みが表れた具体的な経験
- 自分自身が行ったこと
- 結果
- 応募先でもどう活かせるか
抽象的な表現をできるだけ避けてください。
入力されていない実績や数字は追加しないでください。
これで、自己PRの基本形を作れます。
ただし、ここで完成ではありません。
AIが作った文章を採用担当に提出できる状態まで直す作業が必要です。
修正ポイント1|「強み」を抽象語だけで終わらせない
AIが作る自己PRでは、
「コミュニケーション能力」
「課題解決力」
「主体性」
「リーダーシップ」
といった言葉が出てくることがあります。
これだけでは、採用担当は応募者の違いを判断しにくくなります。
たとえば、
私の強みはコミュニケーション能力です。
よりも、
私の強みは、立場の違う関係者から情報を集め、論点を整理して合意形成まで進められることです。
のほうが、何ができる人なのか分かります。
「コミュニケーション能力」というラベルではなく、
その能力を使って何ができるのか
まで書くのがポイントです。
修正ポイント2|会社やチームではなく「自分がやったこと」を書く
自己PRで採用側が知りたいのは、会社全体の成果ではありません。
応募者本人の行動です。
たとえば、
プロジェクトチームとして業務改善を行い、作業時間を短縮しました。
だけでは、自分自身が何をしたのか分かりません。
そこで、
私は各担当者へのヒアリングを行い、重複していた作業を整理しました。その結果、チームで業務手順を見直すことができました。
のように、本人の行動を分けて書きます。
AIで文章を作ると、チームの成果と本人の成果が一つの文章にまとまることがあります。
完成後には必ず、
「この文章のどこが自分自身の行動なのか」
を確認してください。
職務経歴書でも、採用側は同じ点を確認しています。

修正ポイント3|数字をAIに作らせない
自己PRを具体的にしようとして、
「売上20%向上」
「工数30%削減」
「顧客満足度を改善」
といった数字を入れたくなるかもしれません。
数字そのものは有効です。
しかし、AIが補った数字をそのまま使ってはいけません。
実際に確認できる数字だけを使ってください。
数字が分からなければ、
「毎週発生していた手戻りが減った」
「複数部署で別々に管理していた情報を一本化した」
など、事実として説明できる変化を書く方法もあります。
自己PRは、数字があることよりも、
書いた内容を自分で説明できること
のほうが重要です。
修正ポイント4|応募先でどう使えるかまで書く
過去の実績だけを書いて終わる自己PRも多くあります。
しかし採用側が判断したいのは、
その経験が入社後にも使えるのか
という点です。
たとえば、
関係部署との調整を行い、プロジェクトを進めました。
だけで終わらせず、
この経験を活かし、複数部門との調整が必要になる貴社のプロジェクトでも、論点を整理しながら関係者との合意形成を進められると考えています。
と接続します。
ただし、応募先の仕事内容を理解せずに書くと、ここも一般論になります。
求人票や企業情報を確認して、実際に求められている仕事との接点を探してください。
AIを求人票の整理に使う方法はこちらで解説しています。

AIに自己PRを厳しくチェックさせるプロンプト
文章ができたら、AIにもう一度チェックさせます。
そのときは「良くしてください」ではなく、評価するポイントを指定します。
以下の自己PRを採用担当の視点でチェックしてください。
次の項目ごとに問題点を指摘してください。
- 抽象的すぎる表現はないか
- 本人が何をしたのか明確か
- チームの成果を本人の成果として書いていないか
- 根拠のない数字や実績がないか
- 強みと具体的な経験が一致しているか
- 応募先で再現できる強みになっているか
勝手に事実を追加せず、修正が必要な部分だけを指摘してください。
【自己PR】
ここに自己PRを入力
この方法なら、AIを「文章を書く人」ではなく、
自己PRをチェックする編集者
として使えます。
AIに面接で聞かれそうな質問も作らせる
自己PRが完成したら、最後に面接で説明できるか確認します。
次のプロンプトを使います。
以下の自己PRを読んだ採用担当が、内容が事実か、本人がどこまで担当したのかを確認するために聞きそうな質問を10個作ってください。
特に、
・本人の役割
・行動した理由
・課題
・成果
・数字の根拠
・応募先での再現性
を確認する質問を作ってください。
出てきた質問に、自分の言葉で答えます。
答えに詰まる部分があれば、自己PRの表現が実際の経験より強くなっていないか確認してください。
AIを面接準備に使う方法については、こちらで詳しく検証しています。

AIで作った自己PRの完成例
たとえば元の情報が、
- 複数部署が関係するシステム導入を担当
- 部署ごとに認識が違っていた
- 関係者へ個別にヒアリング
- 論点を整理
- 定例会を設定
- 手戻りが減った
だったとします。
AIにそのまま文章を作らせると、
私の強みは高いコミュニケーション能力です。複数部署が関係するシステム導入プロジェクトにおいて、関係者と積極的にコミュニケーションを取り、プロジェクトを円滑に推進しました。
となる可能性があります。
文章としてはきれいですが、まだ抽象的です。
これを、
私の強みは、関係者の認識が異なる状況でも、論点を整理して合意形成を進められることです。システム導入では部署ごとに要件の認識が異なり、手戻りが発生していました。そこで私は各担当者へ個別にヒアリングを行い、認識が異なる項目を整理したうえで定例の確認機会を設けました。その結果、仕様確認を早い段階で行えるようになり、手戻りを減らすことができました。複数部門と連携する業務でも、この経験を活かして関係者間の調整を進められます。
まで直します。
違いは文章力ではありません。
応募者本人の行動が見えるかどうかです。
AIで自己PRを作るときに最後に確認する5項目
提出前には、次の5項目を確認してください。
- 書いてある経験はすべて事実か
- 自分自身の行動が分かるか
- 強みと具体的な経験がつながっているか
- 入力していない数字や成果が追加されていないか
- 詳しく聞かれても自分の言葉で説明できるか
この5つを満たしていれば、AIを使ったかどうかよりも重要な、
「採用担当が応募者の経験を判断できる自己PR」
に近づきます。
AIによって応募書類を整えること自体は難しくなくなっています。
だからこそ、文章のきれいさだけでは差がつきにくくなります。

AIは自己PRを作る道具ではなく、自分の経験を整理する道具として使う
AIを使えば、自己PRを書く時間は短縮できます。
しかし、採用担当が評価する経験そのものをAIが作ってくれるわけではありません。
自分の経験を出す。
AIに整理させる。
文章にする。
事実と違う部分を削る。
本人の行動を具体化する。
応募先でどう活かせるかを考える。
面接で説明できるか確認する。
この順番で使うことが重要です。
AIに「評価される自己PR」を作らせるのではありません。
自分が実際に経験してきたことを、採用担当が評価できる形へ整理するためにAIを使う。
この使い方なら、AIは転職活動でかなり役立ちます。

