企業の人事から突然スカウトが届くことがあります。
「あなたの経歴を拝見して連絡しました」
ここまでは珍しくありません。
ただ、以前、外資系SaaS企業の人事から届いたスカウトには、もう一歩踏み込んだことが書かれていました。
「弊社社員より優秀だと紹介頂いた」
私はその会社の社員から紹介された覚えがありませんでした、しかし確かにその会社には知人が数名在籍しています。
そこで人事に、紹介してくれた社員と直接話をしたいと伝えました。
人事からは「本人に確認する」という趣旨の返答がありましたが、その後、約1か月連絡はありません。
ここから「人事が嘘をついた」とまでは断定できません。しかし誰がどのような経緯で私を紹介したのか、現在も確認できていません。
ただ、この経験から一つ言えることがあります。
企業から届くスカウトは、文面の特別感だけで判断しない方がいいということです。
スカウトを受け取ったときに見るべきなのは、「選ばれた感じがするか」ではなく、「誰が、なぜ、自分に連絡してきたのか」です。
企業の人事から届くスカウトにはいくつかの種類がある
企業から直接届くスカウトを、すべて同じものとして考えると判断しにくくなります。
たとえば、採用担当者が経歴を確認して直接連絡しているケースもあれば、転職サービス上で条件に合う候補者へアプローチしているケースもあります。
そして今回のように、「社員から紹介された」と説明されるケースもあります。
ここで区別したいのが、一般的なダイレクトスカウトと社員紹介です。
社員紹介、いわゆるリファラル採用であれば、通常はその社員が候補者と企業をつなぐという関係があります。
少なくとも、「社員から紹介された」という説明を受けた候補者が「では、その人と話してみたい」と考えるのは不自然ではありません。
なので私もそこを確認してみました。
「弊社社員より優秀だと紹介頂いた」と人事から連絡が来た
実際に私が受け取ったのは、外資系SaaS企業の人事からの連絡でした。
その中に、
「弊社社員より優秀だと紹介頂いた」
という趣旨の説明がありました。
普通のスカウトより気になる書き方です。
単に「経歴を見ました」と言われるのと、「社員から紹介された」と言われるのでは意味が違います。
後者なら、当然気になるのは「誰が紹介してくれたのか」です。確かにその会社には知人が数名在籍しています。
しかし、私にはその会社の社員から自分を紹介したと聞いた記憶がありませんでした。
そこで、その説明をそのまま受け入れず確認することにしました。
紹介してくれた社員と直接話したいと伝えた
人事には、紹介してくれた社員と直接話をしたいと伝えました。
転職するかどうかを判断するうえでも、実際に働いている社員から会社や仕事について聞けるのであれば有益です。
また、自分を紹介してくれたのであれば、
「なぜ自分を紹介したのか」
も聞くことができます。
また、本当に社員からの紹介であれば、どのような経緯で私を紹介したのかも本人に確認できます。
人事からは、その社員本人に確認するという趣旨の返答がありました。
ところが、その後は連絡がありません。
約1か月が経過しても、紹介者と話す機会は設定されていません。
私が確認できている事実はここまでです。
この結果だけで「人事が嘘をついた」とは断定できない
ここは事実と推測を分ける必要があります。
紹介した社員が本当に存在する可能性はあります。
その社員が面談を断った可能性もありますし、人事側で話が止まっている可能性もあります。
したがって、
「社員からの紹介という話は嘘だった」
とは断定できません。
一方で、私自身は紹介者を確認できませんでした。
そのため、「社員から紹介された」という説明を根拠に、その会社から特別に評価されていると判断することもできません。
確認できないことを、都合よく事実に変えない。
企業からスカウトを受け取るときにも、この線引きは必要です。
スカウトの「特別感」と応募する価値は別に考える
「あなたにだけ連絡しました」
「経歴を高く評価しています」
「社員から推薦されました」
こうした言葉が書かれていれば、悪い気はしないですよね。
しかし、転職先として魅力的かどうかは別の話です。
スカウトを受け取ったら、文面の熱量より求人の中身を見ます。
仕事内容は自分の経験と合っているか。
求められている経験は何か。
ポジションや責任範囲はどこまでか。
年収レンジはどうなっているか。
なぜ自分に声をかけたのか。
このあたりが分からなければ、スカウトの文面だけを見ても応募判断はできません。
求人票を見るときに、必須条件と歓迎条件をどう判断すればよいかは「あわせて読みたい」で詳しく解説しています。

「なぜ自分にスカウトしたのか」は聞いていい
企業人事からスカウトが届いて興味を持ったなら、返信するときに確認して構いません。
たとえば、
「私のどの経験が今回のポジションと合っていると判断されましたか」
と聞けば、連絡した理由を具体的に確認できます。
今回のように社員からの紹介だと言われたのであれば、
「可能であれば紹介いただいた方から、ポジションについてお話を伺えますか」
と確認する方法もあります。
具体的な回答が返ってくれば、求人を検討する材料が増えます。
反対に回答が曖昧だったとしても、それ自体が会社を否定する材料になるわけではありません。
分からないことが一つ増えた、というだけです。
その状態で応募するかどうかを判断しましょう。
そもそも企業の人事がどのような理由で候補者へスカウトを送るのか、届いたときにどこを確認すればいいのかは、こちらで詳しく整理しています。

人事から直接声をかけられても書類選考や面接は別の話
もう一つ注意したいのが、スカウトされたことと採用されることを混同しないことです。
企業側から声をかけられると、
「かなり採用に近いのでは」
と感じるかもしれません。
しかし、スカウトを送る段階と実際の選考では、見られる情報量が違います。そして多くの場合は担当も違います。
プロフィールを見て興味を持たれても、職務経歴書を詳しく確認した結果、求める経験と合わないことはあります。
面接で担当範囲や経験の深さを確認した結果、評価が変わることもあります。
採用側が経験のどこを見ているのかは「あわせて読みたい」で詳しく解説しています。

スカウトされた会社だけで転職先を決めない
企業から直接連絡が来ると、その会社を中心に転職を考え始めてしまうことがあります。
ただ、相手から声をかけられたことと、その会社が自分にとって最も良い転職先であることは別です。
興味があるなら話を聞く。
そのうえで、他の求人とも比較する。
この順番で十分です。
特に30代以降のIT転職では、仕事内容だけでなく、役割、年収、今後積める経験まで比較した方が判断しやすくなります。
転職エージェントを使う場合も一社だけで判断する必要はありません。複数のサービスを比較したい場合は「あわせて読みたい」で整理しています。

企業からのスカウトは「信用する・しない」ではなく確認して使う
今回、私は「弊社社員より優秀だと紹介頂いた」という連絡を受け、紹介した社員と話したいと人事へ伝えました。
人事からは確認するという趣旨の返答がありましたが、その後約1か月、連絡はありませんでした。
だからといって、社員からの紹介がなかったとは断定できません。
分からないものは分からないままです。
ただし、確認できていない「特別な評価」を理由に応募する必要もありません。
企業から届くスカウトは、応募先を知るきっかけとして使う。
興味を持ったら、なぜ自分に連絡したのか、どんな仕事を任せたいのかを確認する。
そして、求人内容や他社の選択肢と比較して応募するかを決める。
企業から直接スカウトされたときほど、「声をかけてもらった」ことではなく、自分にとってその求人を選ぶ理由があるかで判断する方がいいでしょう。

